IDWR 2015年第44号<注目すべき感染症> 梅毒 2015年10月までの報告数増加と疫学的特徴

注目すべき感染症、注:PDF版よりピックアップして掲載しています。
梅毒 2015年10月までの報告数増加と疫学的特徴
2015年10月28日時点で、2015年第1週から第43週(2014年12月29日~2015年10月25日)までに診断され、感染症法に基づく医師の届出による梅毒として報告された症例数は2,037例で、昨年同時期の1.5倍であった。性別は男性1,463例、女性574例でそれぞれ昨年同時期の1.4倍、2.0倍となり、女性の増加が顕著であった。
感染経路別では、男性は異性間性的接触が615例(昨年同時期比1.7倍)、同性間性的接触が487例(同1.0倍)の報告であった。また、女性の異性間性的接触は405例(同2.1倍)であった。
病型は早期顕症梅毒が、男性で990例(昨年同時期比1.6倍)、女性で323例(同2.4倍)とそれぞれ増加した。女性の年齢分布として15~35歳の全体に占める割合が約4分の3を超えた(437例:76%)。特に20~24歳が177例(同2.7倍)と全体に占める割合の最も高い年齢群であった。さらに、先天梅毒が既に10例(昨年同時期9例)報告されており、本疾患の発生動向を注視する必要がある。
以上を踏まえ、男性同性間性的接触による感染報告の増加傾向は2010~2013年にみられたが1-4、本年は、男女の異性間性的接触による報告数増加の傾向が続いていると考えられた5。
引き続き今後の梅毒の発生動向に注意しながら、特にリスクが高い集団に対する啓発活動が重要である。具体的には、不特定多数の人との性的接触はリスク因子であり、その際にコンドームを適切に使用しないことがリスクを高めること、オーラルセックスやアナルセックスでも感染すること、梅毒は終生免疫を得られず再感染することなどが啓発のポイントとして挙げられる6,7。
感染が疑われる症状がみられた場合には、早期に医師の診断・治療を受けることが重要である。梅毒と診断した場合には、感染症法に基づく届出を行う必要がある。また、必要に応じた性行為パートナーに対する啓発、検査等を行うことが重要である。梅毒の感染経路、症状、治療、予防等に関しては、「梅毒に関するQ&A」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/seikansenshou/qanda2.html)を参照されたい。
参考文献
- IASR病原微生物検出情報「梅毒 2008~2014年」
- 感染症発生動向調査週報(IDWR)「梅毒 2014年における報告数増加と疫学的特徴」
- IASR病原微生物検出情報「増加しつつある梅毒−感染症発生動向調査からみた梅毒の動向−」
- IASR病原微生物検出情報「東京都における梅毒の発生状況(2007~2013年)」
- 感染症発生動向調査週報(IDWR)「梅毒 2015年4月までの報告数増加と疫学的特徴」
- 性感染症
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkakukansenshou/seikansenshou/index.html - 梅毒に関するQ&A
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkakukansenshou/seikansenshou/qanda2.html
国立感染症研究所 感染症疫学センター