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IDWR 2015年第18,19合併号<注目すべき感染症> 梅毒 2015年4月までの報告数増加と疫学的特徴

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注目すべき感染症、注:PDF版よりピックアップして掲載しています。

梅毒 2014年における報告数増加と疫学的特徴

2008~2014年にかけて、感染症法に基づく医師の届出による梅毒症例の報告は増加した1,2。その傾向は本年も続いている。本稿においては、報告に基づく直近の流行の概要に関する情報を提供することを目的とした。

2015年4月30日時点で、2015年第1週から第17週(2014年12月29日~2015年4月26日)までに診断され報告された梅毒症例数を昨年同時期と比較した。この期間、615例の報告があり、昨年同時期の1.3倍であった。性別は男性447例、女性168例でそれぞれ昨年同時期の1.2倍、1.8倍となり、女性の増加が顕著であった。

感染経路別では、男性は異性間性的接触が180例(昨年同時期比1.6倍)、同性間性的接触が154例(同0.9倍)の報告であった。また、女性の異性間性的接触は118例(同1.9倍)であった。男性の同性間性的接触による感染の報告数増加は2010~2013年にはみられたが3,4、本年は、昨年同時期と比較して男女ともに異性間性的接触による感染の報告数増加が確認された。

病型は早期顕症梅毒が、男性で282例(昨年同時期比1.4倍)、女性で94例(同2.6倍)と増加した。女性の年齢分布は従来と変わらず15~35歳が約6割を超える1が、特に15~25歳では75例(同3.0倍)と報告数が増加した。さらに今年、先天梅毒が既に5例報告されており、母子伝播による先天梅毒報告の増加にも注意が必要である。

2015年第17週までの梅毒報告数の昨年同時期との比較から、異性間性的接触による感染者数の増加と、若年女性での増加が観察された。このような動向に注意しながら、特にリスクが高い集団に対する啓発活動が重要である5。具体的には、不特定多数の人との性的接触はリスク因子であり、コンドームを適切に使用しないことがリスクを高めること、オーラルセックスやアナルセックスでも感染すること、終生免疫は得られず再感染することなどが他のリスクとして挙げられる5。感染が疑われる症状のみられた場合には、早期に医師の診断・治療を受けることが望ましい。診断した医師は梅毒の報告を行うとともに、患者ばかりでなく必要に応じてその性行為パートナーに対する教育、検査等を行うことが重要である。

参考文献

  1. 病原微生物検出情報(IASR)「梅毒2008~2014年」
  2. 感染症週報(IDWR)注目すべき感染症「梅毒 2014年における報告数増加と疫学的特徴」
  3. 病原微生物検出情報(IASR)「増加しつつある梅毒-感染症発生動向調査からみた梅毒の動向-」
  4. 病原微生物検出情報(IASR)「東京都における梅毒の発生状況(2007~2013年)」
  5. 厚生労働省:性感染症(外部サイトにリンクします)

国立感染症研究所 感染症疫学センター

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