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2010/11~2023/24シーズンにおけるサポウイルス流行の特徴と遺伝子群および遺伝子型の変遷―三重県

(IASR Vol. 45 p214-216: 2024年12月号)

三重県では、2011年より小児科定点医療機関等の感染性胃腸炎検体からのサポウイルス(SaV)の検出にVP1領域を標的としたgenogroup-PCRを、2017年よりnested-PCRおよび遺伝子型別を実施している1)。今回、本県におけるSaVの流行に特徴がみられたため、その概要について報告する。

2010/11~2023/24シーズン中はノロウイルス(NoV)が最も多く検出され、次いでSaV、ロタウイルス、アストロウイルス、腸管アデノウイルスの順であった()。2020年のロタウイルスワクチン定期接種開始以降、ロタウイルスの検出率は顕著に減少した。一方、全国的には常にNoVが優勢であったにもかかわらず2,3)、本県では1~2シーズンごとにSaVがNoVと同等以上に検出された(2014/15、2017/18、2019/20、2021/22、2023/24シーズン)。

検出されたSaVのgenogroup(遺伝子群)は4種類(G1、G2、G4、G5)、遺伝子型は9種類(G1.1、G1.2、G1.3、G2.1、G2.2、G2.3、G2.5、G4.1、G5.1)であった()。GIが最も多く、全体の50.8%を占めたが、G2が優位なシーズンもみられた(2015/16、2019/20、2020/21、2022/23シーズン)。一方、全国集計2)では2019/20シーズンを除きG1が優位であった。また、2014/15シーズンはG5がG1と並んで最多となり、G5検出数で全国集計2)の半数以上を占めたことから、県内におけるG5の地域流行が示唆された。遺伝子型別ではG1.1が最も多く検出され、多くのシーズンで優位であった。次いでG2.3、G2.1の順で、1シーズンで1-6種類の遺伝子型が検出された。

SaVによる小児の急性胃腸炎は、同一シーズン中でもG1.1を中心に多様な遺伝子型が関与し、シーズンによりNoVを上回る流行を起こしていた。しかし、全国集計との乖離や2,3)、他の地域の流行状況と違いがみられることから4,5)、SaVの流行は地域により特徴が異なると考えられた。SaVはNoVと比較して遺伝子解析が積極的に行われていない可能性もあるため、より詳細な流行状況を把握するには、全国的なサーベイランス体制を構築する必要がある。

参考文献

  1. Okada M, et al., Arch Virol 151: 2503-2509, 2006
  2. 国立感染症研究所, IASR 過去の集計表ウイルス, 胃腸炎ウイルス
  3. 国立感染症研究所, IASR グラフ ウイルス, 2018/19, 2023/24
  4. 伊藤彩乃ら, 広島県立総合技術研究所保健環境センター研究報告 30: 15-20, 2022
  5. Hanafusa T, et al., Jpn J Infect Dis 76: 246-250, 2023

検体提供機関

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楠原 一 小林章人 川合秀弘 下尾貴宏

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