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2021年度風疹予防接種状況および抗体保有状況―2021年度感染症流行予測調査(暫定結果)

公開日:2023年4月21日

(IASR Vol.44 p55-57:2023年4月号

はじめに

感染症流行予測調査における風疹感受性調査は、風疹に対する感受性者を把握し、効果的な予防接種施策を図るための資料にするとともに、将来的な流行を予測することを目的としている。

風疹の届出患者数は、2013年(14,344人)の流行以降、2014~2017年まで減少傾向であったが、2018年は2,941人、2019年は2,296人が届出され、2021年は12人と、全数把握開始以降で最少の累計届出数となった1)。2018年、2019年の流行では、患者の多くはこれまでに風しん含有ワクチンの定期接種の機会がなく、風疹に対する抗体を保有する割合が低い成人男性であった。そのため、この年齢群に対する対策として2019~2021年度まで、1962(昭和37)年4月2日~1979(昭和54)年4月1日に生まれた男性(2019年7月1日時点40歳3か月~57歳3か月)が風疹にかかわる定期の予防接種(A類疾病)対象者(第5期)として追加された。2021年12月には2025年3月末(令和6年度末)までの3年間の延長が決定された。

今回は、2021年度調査における風しん含有ワクチン接種状況および抗体保有状況について報告する。

調査概要

2021年度調査は、北海道、茨城県、群馬県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、長野県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、山口県、高知県、鹿児島県の16都道府県で実施され、調査実施数は4,114人(男性2,380人、女性1,733人、不明1人)であった。抗体価の測定は各都道府県衛生研究所において,主に7~9月に採取された血清を用いて赤血球凝集抑制(hemagglutination inhibition:HI)法により行われた。予防接種歴は調査時点における接種状況が報告された。

風しん含有ワクチン接種状況(図1

2021年度調査において、1回以上接種者(1回・2回・回数不明)の割合は、1歳の女性で65%、男性で69%、2歳では女性で70%、男性で77%であった。20歳以上群における接種割合は男性が19%(20-24:28%、25-29:30%、30-34:21%、35-39:17%、40-44:20%、45-49:13%、50-54:18%、55-59:12%、60-64:14%、65-69:10%、≧70:0%)、女性が36%(20-24:52%、25-29:53%、30-34:43%、35-39:29%、40-44:34%、45-49:24%、50-54:29%、55-59:33%、60-64:19%、65-69:21%、≧70:3%)であり、男性で低かった。風しん含有ワクチンの接種歴不明であった者の割合は、0~19歳で男性が7-67%、女性が5-50%、20歳以上群で男性が64-82%、女性が45-79%であり、20歳以上群では20歳未満群に比べ接種歴不明者が多い傾向にあった。第5期接種対象者を含む40~59歳の年齢群男性の接種割合は15%であった。本年度の調査では、男性11歳(接種歴不明1名、1回接種3名、2回接種3名)、男性17歳(接種歴不明4名、2回接種2名)のように、調査数がごく少数の年齢がいくつか認められている。調査数の少ない年齢では結果の解釈に注意が必要である。

風疹HI抗体保有状況(図2

HI法で陽性と判定される抗体価1:8以上を有する者の割合は、通常移行抗体の消失にともない乳児期前半から後半にかけて低下し、定期接種対象年齢の1歳で上昇し、2歳で95%を超える。本年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応の影響で、調査自治体が減少し、調査数の少ない年齢があり、単年齢の抗体保有割合にバラツキが認められた。

2021年度調査における抗体保有割合は、生後0~5か月で78%、生後6~11か月で13%、1歳で79%であった。2歳以降の年齢/年齢群では、おおむね90%以上であった。男女別に比較をすると、2歳~50代の女性では、ほぼすべての年齢群で90%以上(84-100%)であったのに対し、男性では40代前半~60代前半の年齢群で90%を下回り、女性に比べ低かった。

1962年4月2日~1979年4月1日(1962~1978年度)生まれ(調査時年齢43~59歳)の者は、女性のみが風しんワクチンの定期接種対象者となっていたことから、この年齢群の男性の風疹抗体保有割合は低い傾向がみられる。2012~2020年度調査では継続して80%前後で推移しており、定期接種の機会があった1979年4月2日以降に生まれた男性と比較して低かった。2021年度調査において、抗体保有率は88%と前年度から6ポイント増加し、1979~1989年度まれの男性や同年代の女性との差は小さくなった(図3)。近年、本事業で献血血液を用いる自治体の割合が増加傾向にあるが、献血集団は一般集団とは明らかに異なる集団2)とする報告もあり、第5期定期接種の評価指標とするには注意が必要である。

まとめ

2021年度調査では、これまで同様40~50代男性の抗体保有割合は女性と比較して低い傾向であった。1962~1978年度生まれの男性を対象とした風疹の第5期定期接種が2025年3月末(令和6年度末)まで延長されており、本調査を継続して実施することで、この対策に対する効果を注視していくことが重要と考えられた。

参考文献

  1. 国立感染症研究所感染症疫学センター, 風疹に関する疫学情報: 2022年11月9日現在
    https://id-info.jihs.go.jp/niid/images/epi/rubella/2022/rubella221109.pdf(PDF:1,086 KB)
  2. J Golding, et al., Int J Epidemiol 42(4): 1145-1156, 2013

国立感染症研究所
感染症疫学センター
林 愛 菊池風花 北本理恵 新井 智 神谷 元 鈴木 基
ウイルス第三部
森 嘉生 坂田真史 竹田 誠

2021年度風疹感受性調査実施都道府県
北海道 茨城県 群馬県 千葉県 東京都 神奈川県 新潟県 石川県
長野県 愛知県 三重県 滋賀県 京都府 山口県 高知県 鹿児島県

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