コンテンツにジャンプ
国立健康危機管理研究機構
感染症情報提供サイト
言語切り替え English

トップページ > サーベイランス > 感染症発生動向調査 週報(IDWR) > 注目すべき感染症 > IDWR 2016年第9号<注目すべき感染症> インフルエンザ

IDWR 2016年第9号<注目すべき感染症> インフルエンザ

注目すべき感染症のアイコンの画像

注目すべき感染症、注:PDF版よりピックアップして掲載しています。

インフルエンザ

インフルエンザは、インフルエンザウイルスを病原体とする急性の呼吸器感染症で、毎年世界中で流行がみられる。主な感染経路は咳、くしゃみ、会話等から発生する飛沫による感染(飛沫感染)であり、他に飛沫の付着物に触れた手指を介した接触感染もある。感染後、発熱、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが出現し、鼻水・咳などの呼吸器症状がこれに続くが、いわゆる「通常感冒」と比べて全身症状が強いことが特徴である。通常は1週間前後の経過で軽快する。

2015/2016年シーズン〔2015年第36週(2015年8月31日~9月6日)以降〕のインフルエンザの流行状況は、2015年第36週以降低水準で推移していたが(インフルエンザ過去10年間との比較グラフ)、2016年第1週では定点当たり報告数は2.02となり、全国的な流行開始の指標である1.00を上回った。2016年第6週の定点当たり報告数は39.97となり、第9週までの今シーズンの定点当たり報告数では最多である。第7~9週の定点当たり報告数は微減し、第9週(2016年2月29日~3月6日:2016年3月9日現在)では定点当たり報告数は35.35と前週の36.12より若干減少した。今シーズンの地理的推移をみると、2015年第53週までは東日本の自治体から多くの報告がなされていたが、第4週以降の定点当たり報告数では全国的に多くの報告がなされ、第9週の定点当たり報告数では、愛知県(57.36)、愛媛県(56.87)、鹿児島県(51.55)、宮崎県(51.36)、高知県(49.42)、福岡県(49.16)、石川県(48.10)、福井県(46.84)、山口県(44.87)、大分県(43.79)、長野県(43.76)、三重県(43.72)、岐阜県(42.37)、鳥取県(42.00)、沖縄県(41.98)、兵庫県(41.20)の順となった。第9週の都道府県別の定点当たり報告数では、前週と比べ、22府県で増加がみられ、25都道府県で減少がみられた。関東地域(一都六県)では、第7週と比較して第9週における定点当たり報告数はいずれも5以上減少した。

定点医療機関からの報告をもとに、定点以外を含む全国の医療機関を受診した患者数を推計すると、2016年第9週は約178万人(95%信頼区間:164~191万人)となり、前週の推計値(約179万人)よりも微減した。性別では、男性が約91万人(51%)で、年齢別では、5~9歳が約41万人、10~14歳が約27万人、0~4歳が約22万人、30代、40代がそれぞれ約18万人、50代が約12万人、20代が約11万人、15~19歳、60代がそれぞれ約10万人、70歳以上が約9万人の順となっており、15歳未満が約90万人(51%)であった。今シーズンのこれまでの累積の推計受診者数は約1,128万人となり、性別では、男性が51%、年齢別では、15歳未満が49%、30代~40代が22%、70歳以上が4%と推計された。過去3シーズンとの比較において、15歳未満がやや多く、70歳以上がやや少ない。この傾向は、近年では2013/2014年シーズンと似ている〔今冬のインフルエンザについて(2014/15シーズン)(PDF:1.46MB)〕。

基幹定点からのインフルエンザによる入院患者数(インフルエンザ入院サーベイランス)の状況については、2015年第36週以降20例未満で推移していたが、2015年第51週から増加し、2016年第9週は1,216例の報告であった。2016年第9週では、年齢別では、15歳未満が574例(47%)、70歳以上の高齢者が383例(31%)であった。今シーズンのこれまでの累積入院患者数は8,509例となり、15歳未満が3,993例(47%)、70歳以上の高齢者が2,581例(30%)となった。今シーズンのこれまでの累積入院患者数は、過去3シーズンと比較して、15歳未満が既に2012/2013年シーズンと2014/2015年シーズンの累積入院患者数を上回っており、2013/2014年シーズン同様、小児で多い特徴がみられた。

感染症発生動向調査における5類感染症の全数把握疾患である、「急性脳炎(脳症を含む)」の報告のうち、インフルエンザウイルスに関連した急性脳症(インフルエンザ脳症)の報告を比較すると、過去3シーズンについては、2012/2013年シーズンは64例、2013/2014年シーズンは96例、2014/2015年シーズンは101例であり、今シーズンのこれまでのインフルエンザ脳症の累積報告数は既に161例である。また、インフルエンザ脳症の年齢別では、今シーズンは、15歳未満の割合が、過去3シーズン〔2012/2013年シーズンは60.9%、2013/2014年シーズンは71.1%、2014/2015年シーズンは62.6%;今冬のインフルエンザについて(2014/15シーズン)〕と比較して、85.7%(138例)と高い特徴がみられた。

インフルエンザウイルスの検出状況として、直近の5週間(2016年第5~9週:2016年3月9日現在)ではAH1pdm09の検出割合が多く、次いでB型、AH3亜型の順であった(インフルエンザウイルス分離・検出速報)。例年通りシーズン後半からB型の検出割合が増加する傾向が認められている。なお、AH1pdm09の検出割合が多い傾向は米国(CDC FluView:http://www.cdc.gov/flu/weekly/index.htm#S1)、欧州(ECDC Seasonal influenza:http://ecdc.europa.eu/en/healthtopics/seasonal_influenza/epidemiological_data/Pages/Latest_surveillance_data.aspx)、WHO西太平洋地域(WPRO Influenza Situation Update:http://www.wpro.who.int/emerging_diseases/Influenza/en/)でも確認されている。また、WHOによると、今シーズンは多くの国で若年層の重症例が報告されている(http://www.who.int/influenza/publications/riskassessment_AH1N1pdm09_201602/en/)。今後の動向に引き続き注視する必要がある。

インフルエンザの感染対策としては、飛沫感染対策としての咳エチケット(有症者自身がマスクを着用し、咳をする際にはティッシュやハンカチで口を覆う等の対応を行うこと)、接触感染対策としての手洗い等の手指衛生を徹底することが重要である。高齢者における感染への警戒の観点から、医療・福祉施設へのウイルスの持ち込みを防ぐために、関係者が個人で出来る予防策を徹底すると同時に、訪問者等においては、インフルエンザの症状が認められる場合、訪問を自粛してもらう等の工夫が重要である。なお、65歳以上の高齢者、又は60~64歳で心臓、腎臓若しくは呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活が極度に制限される方、ヒト免疫不全ウイルスにより免疫機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方は、予防接種法上の定期接種の対象となっている(平成27年度

今冬のインフルエンザ総合対策について:http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/influenza/(外部サイトにリンクします))。インフルエンザ脳症に対してはインフルエンザワクチンによる直接の予防効果や重症化阻止効果は証明されていないが、予防接種は予防手段の一つであると考えられる。加えて、早期診断・早期治療によってもインフルエンザ脳症の予後が改善される可能性が指摘されている(インフルエンザ脳症ガイドライン:http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/09/dl/info0925-01.pdf(外部サイトにリンクします)(PDF:1.75MB))。

今後のインフルエンザの感染症発生動向調査には注意をしていただくとともに、詳細な情報と最新の状況については、以下を参照いただきたい:

国立感染症研究所 感染症疫学センター

PDF・Word・Excelなどのファイルを閲覧するには、ソフトウェアが必要な場合があります。
詳細は「ファイルの閲覧方法」を確認してください。