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IDWR 2016年第26号<注目すべき感染症> 麻しん・風しん 2016年第1~26週(2016年7月6日現在)

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注目すべき感染症、注:PDF版よりピックアップして掲載しています。

麻しん・風しん 2016年第1~26週(2016年7月6日現在)

日本は現在、麻しん、風しんの対策について、2015年3月に国際的な認定を受けた国内における麻しんの排除状態を維持すること(麻しんに関する特定感染症予防指針、2007年12月28日告示:http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000112477.pdf(外部サイトにリンクします)(PDF:149KB))、および早期に先天性風しん症候群(congenital rubella syndrome:CRS)の発生をなくし、2020年度までに国内から風しんを排除すること、を目標にしている(風しんに関する特定感染症予防指針、2014年3月28日告示:http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou10900000-Kenkoukyoku/0000041928.pdf)。本稿は、主に感染症発生動向調査に基づく国内の麻しん、風しんの直近の疫学状況に関する情報を提供することを目的としている。

2016年第1~26週に診断された麻しん(2016年7月6日現在)は10例であり、うち、検査診断例が9例であった。前年同時期と比べると16例減少した。男性5例、女性5例であり、年齢中央値は29歳(範囲0~63歳)であった。この間の都道府県別の報告数は東京都3例、埼玉県、兵庫県各2例、茨城県、群馬県、三重県各1例であった。推定感染地域は国内が4例であり国外が6例(インドネシア3例、モンゴル2例、カタール1例)と報告されていた。ワクチン接種歴については、接種歴がない、または不明の症例が10例中9例であった。麻しんウイルスの遺伝子型は7例で報告されており、その内訳はD8型5例、B3型1例、H1型1例であった〔麻疹ウイルス分離・検出状況(2016年6月22日現在)〕。

次に風しんについては、2016年第1~26週に診断された風しん(2016年7月6日現在)は80例であり、検査診断例が62例(78%)であった。前年同時期と比べると16例減少した。男性47例(59%)、女性33例(41%)であり、年齢中央値は30.5歳(範囲1~78歳)であった。この間の都道府県別の報告数は愛知県14例、東京都11例、大阪府9例、千葉県7例、兵庫県7例、神奈川県6例、静岡県6例、埼玉県4例、福岡県3例、岐阜県2例の順であった。推定感染地域は国内が71例(89%)であり国外が7例(9%:ベトナム3例、インド3例、フィリピン1例)と報告されていた。ワクチン接種歴については、接種歴がない、または不明の症例が80例中56例(70%)であった。80例中、30~50代男性が26例(33%)を占めたが、2015年度の感染症流行予測調査によると、30代後半から50代男性の年代は風しん抗体保有状況が低いことが知られている(IASR 37(4), 2016【特集】麻疹・風疹/先天性風疹症候群 2016年3月現在)。風しんウイルスの遺伝子型は7例で報告されており、その内訳は2B型6例、1E型1例であった〔風疹ウイルス分離・検出状況(2016年6月22日現在)〕。

麻しんは、年齢にかかわらず命に関わる重篤な疾患である。また、その感染拡大防止のためには、麻しん風しん混合ワクチンの定期接種の徹底による予防が最も重要であり、感染者の早期探知と迅速な対応も欠かせない。日本土着とされてきた麻しんウイルス(D5型)は2010年5月以降に国内では検出されていないが、海外からの麻しん輸入例は麻しん排除認定以降も継続して報告されており、2016年第1~26週に診断された症例の多くは海外渡航歴のある、あるいは海外渡航者に関連のある症例が多い。

一方、風しんは、一般的には数日で治癒する予後良好な疾患であるが、風しんウイルスが妊娠初期の妊婦に感染することで、児にCRSを引き起こす可能性が高まる。国内では特に成人男性において感受性者が残されており、風しんを排除し、CRSの発生をなくすためには、1期および2期の定期接種率を高く維持することに加えて、成人男性への対策も重要である。成人の症例が多数を占める風しんについては、特に、職場での対策は重要とされている(風しん対策ガイドライン(PDF:5MB))。また最近、麻しんおよび風しんに共通して、海外からウイルスが持ち込まれたことが示唆される報告が多くみられるため、日本国内にウイルスを持ち込まないために、海外での流行状況に応じて、流行地域への渡航者に対しては、ワクチン接種歴等を確認の上、必要に応じて渡航前にワクチン接種が行われることが推奨される。

今後の海外からの麻しんおよび風しんの輸入例の増加に対しては、最初に患者と接する可能性が高いのが医療機関であることから、事前の予防策として、事務職を含むあらゆる医療関係者においては、2回以上の麻しん風しん混合ワクチン接種歴の確認と必要な場合の接種の推奨が重要であることを改めて強調したい。また、発熱・発疹を呈する急性感染症の患者が医療機関を受診する際に、重要となるのが問診であり、医療関係者が発熱・発疹患者に対して聞き取りを行う場合には、麻しん、風しんの流行国を把握し(例、西太平洋地域における麻しん・風しん流行状況:http://www.wpro.who.int/immunization/documents/measles_rubella_bulletin/en/)、渡航歴や発熱・発疹患者との接触歴、予防接種歴などの確認を慎重に行うことが重要である。感染症発生動向調査2011年第1週~2015年第53週までに届出された麻しん4,719例のうち、確定例1,449例と取り下げ例3,270例を比較したところ、海外渡航歴あり(確定例14%、取り下げ例3%)、麻しんワクチンの予防接種歴なし(確定例34%、取り下げ例21%)、周囲の麻しん流行あり(確定例23%、取り下げ例2%)のいずれの項目においても、実際に確定例において多く認められていたことは注目される。

麻しんおよび風しんの感染症発生動向調査に関する背景・詳細な情報と最新の状況については、以下を参照いただきたい:

国立感染症研究所 感染症疫学センター

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