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IDWR 2015年第29号<注目すべき感染症> 腸管出血性大腸菌感染症(2015年7月22日現在)

注目すべき感染症のアイコンの画像

注目すべき感染症、注:PDF版よりピックアップして掲載しています。

腸管出血性大腸菌感染症(2015年7月22日現在)

2015年の腸管出血性大腸菌(EHEC)感染症報告数は、第21週から増加し始め、第25週に100例を超えた。第26~27週にかけて起きた集団発生の影響で、一時的に増加がみられた()。本年第29週までの累積報告数1,451例は、直近4年間(2011~2014年)の各年同週までの累積報告数と比較して、2011年に次いで2番目に多い報告数である(2011年1,616例、2012年1,264例、2013年1,232例、2014年1,411例)。また、患者(有症状者)のみに絞った累積報告数は981例であり、2011年に次いで2番目に多い(2011年1,083例、2012年794例、2013年847例、2014年977例)。

第1~29週の累積報告数を都道府県別にみると、大阪府(252例)が最も多く、次いで東京都(152例)、神奈川県(86例)、北海道と福岡県(各83例)の順であった(本号31ページ「29週のデータ」参照)。大阪府は、第26週に保育施設で起きた集団発生(O26 VT1)により、無症状病原体保有者を含めて100例以上が報告された〔速報グラフ(PDF)2015年第29週(PDF:4,743KB)「都道府県別腸管出血性大腸菌感染症週別報告状況」参照〕。第27週以降に起きた集団発生(食中毒を含む)は、第28週に東京都の飲食店(食中毒、O157 VT2)、千葉県の中学校(O157 VT1・VT2)、第29週に三重県の飲食店(食中毒、O157 VT1・VT2)でそれぞれ報告されている。

腸管出血性大腸菌感染症の年別・週別発生状況の図

EHEC感染症の重篤な合併症である溶血性尿毒症症候群(HUS)の発症は、第29週までに累計31例〔うち、女性19例(61.3%)〕が報告されており、患者全体に占める割合は3.2%であった()。直近4年間の同週までの累積報告数と比較すると、2011年(61例)、2014年(39例)に次ぐ報告数であった。年齢群別では0~4歳が17例で過半数を占め、患者に占めるHUS発症例の割合は8.0%で、他の年齢群と比較して最も高かった。例年同様、女性と低年齢の小児で発症が多く報告されている。

届け出時点におけるEHEC感染症の死亡は2例(うち1例はHUS発症)が報告されていた。

腸管出血性大腸菌感染症の溶血性尿毒症症候群(HUS)の年齢別報告数の図

EHECは少量の菌数(10~100個程度)でも感染が成立し、人から人への経路、または人から食材・食品への経路で感染が拡大しやすい。EHEC感染症が多発する夏季は、食肉の十分な加熱処理、調理器具の十分な洗浄や手洗いの励行などを行うことにより、食中毒の予防を徹底することが重要である。特に、低年齢の小児はEHEC感染とその後のHUS発症のリスクが高いため、肉・レバーなどは十分に加熱してから喫食することが必要である。肉やレバーの生食はEHECに汚染されている可能性が否定できないため控えることが必要である。焼く前の生肉などに使用する箸は使い分けることなどにも注意が肝要である。また、下痢や腹痛等の症状がある場合は、人から人への二次感染を予防するための注意も必要である。毎年保育施設における集団発生が多くみられており、日ごろからの注意として、オムツ交換時の手洗い、園児に対する排便後・食事前の手洗い指導の徹底が重要である。また、簡易プールなどの衛生管理にも注意を払う必要がある。さらに、過去には動物とのふれあい体験での感染と推定される事例も報告されており、動物との接触後の充分な手洗いや消毒が必要である。

(補)菌の検出状況については、(グラフ・集計表)IASR 速報グラフ 細菌をご参照ください。

国立感染症研究所 感染症疫学センター

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