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感染症法に基づくカルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症の届出に関するQ&A

(公開日:2014年9月24日)

平成26年9月19日に、感染症法に基づく医師の届出対象の感染症に、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症が追加されました。届出にあたり、よくある質問とその答えをまとめました。

Q1:カルバペネムに耐性を示す腸内細菌科細菌が分離されましたが、感染症を起こしていない保菌者については、届出の対象ですか?

A1:届出の対象ではありません。ただし、複数の入院患者からカルバペネム耐性腸内細菌科細菌が分離されるなど、院内でのアウトブレイクが疑われる場合は、保菌であっても別途医政局指導課長通知(平成23年6月17日:医政指発0617第1号)に基づき、保健所に相談、連絡をしてください。また、その菌株が入院中の患者より分離された場合は、他の入院患者へ伝播しないように院内感染対策を適切に実施することが必要です。

Q2:届出のために必要な検査所見で、検査材料が通常無菌的ではない検体の場合は分離菌が感染症の起因菌と判定された場合、という条件が付されています。感染症の起因菌かどうかの判断はどのような基準で行うのですか?

A2:感染症の起因菌かどうかの判断は、診断する医師に委ねられています。

Q3:分離菌がイミペネムには感性(MIC 1μg/ml以下)、メロペネムには耐性(MIC 2μg/ml以上)を示した場合、届出の対象になりますか?

A3:メロペネムに耐性であれば、イミペネムに感性であっても届出の対象になります。なお、国内でカルバペネム耐性腸内細菌科細菌として比較的分離頻度が高いIMP-6カルバペネマーゼ産生菌は、メロペネムには通常耐性を示しますが、イミペネムでは感性と判定されることが知られています。このため、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌の検出にはメロペネムが推奨されます。

Q4:イミペネムをカルバペネム耐性の指標薬剤として用いる場合は、なぜセフメタゾールも同時に耐性を示すことが条件になっているのですか?

A4:腸内細菌科細菌のうち、Proteus属菌などでは、イミペネムにのみ耐性を示して他の多くのセフェム系薬剤には感性を示す菌株がしばしば分離されます。このような菌株は広域β-ラクタム剤に対していわゆる汎耐性を示すものではないので、集計の対象としていません。このような菌株を除外するために届出のために必要な検査所見としてセフメタゾール耐性を条件に加えています。

Q5:分離菌がイミペネムに耐性と判定された場合で、同時にセフォタキシムやセフタジジムにも耐性と判定されたが、セフメタゾールは測定していない場合、届出の対象になりますか?

A5:届出基準上は届出の対象になりませんが、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌である可能性があるので注意は必要です。セフォタキシムやセフタジジムに耐性を示すものには、カルバペネマーゼではなくESBLの産生によるものなどが含まれます。このようなものを除外するために、セフメタゾールを用いることとしています。質問のような場合は、個別にセフメタゾールまたはメロペネムを用いて薬剤感受性検査を実施されることをお勧めします。

Q6:カルバペネム耐性の指標薬剤として、メロペネムとイミペネムのどちらがよいのでしょうか?

A6:Q3にありますように、国内でカルバペネム耐性腸内細菌科細菌として比較的分離頻度が高いIMP-6カルバペネマーゼ産生菌は、イミペネムには感性を示すことが知られています。イミペネムを指標薬剤として用いると、このタイプのカルバペネム耐性腸内細菌科細菌は見逃される可能性があります。メロペネムでは、このタイプの株でも通常は耐性を示しますので、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌の検出にはメロペネムが推奨されます。

Q7:カルバペネムの耐性をメロペネムとイミペネムいずれでも測定せず、これら以外のカルバペネム系薬剤で測定して耐性と判定された場合は、届出の対象になりますか?

A7:届出の対象にはなりませんが、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌である可能性があるので注意は必要です。メロペネムを用いて薬剤感受性検査を個別に実施されることをお勧めします。

Q8:メロペネムとイミペネムいずれも感性と判定され、これら以外のカルバペネム系薬剤について耐性と判定された場合は、届出の対象になりますか?

A8:メロペネムとイミペネムいずれも感性の場合は、届出の対象にはなりません。

Q9:メロペネムやイミペネムには感性(MIC値が1μg/ml以下)だったが、広域β-ラクタム剤に高度耐性の場合は、届出の対象になりますか?

A9:届出の対象にはなりません。ただ、このような菌株はメタロ-β-ラクタマーゼ等のカルバペネム耐性遺伝子を持っていることがあります。このような菌株は、耐性遺伝子の発現量や外膜蛋白が変化することで耐性化したり、耐性遺伝子が他の菌株に伝播したりして、今後新たな耐性株を生み出す原因になることがありますので、特に入院患者から分離された場合は感染対策の観点から十分な注意が必要です。遺伝子の検査については、自施設での実施が困難な場合は民間の衛生検査所(検査センター)に依頼して頂くか、地域の大学等の連携研究機関や自治体、地方衛生研究所、国立感染症研究所にご相談ください。

Q10:メタロ-β-ラクタマーゼ遺伝子を持つ菌株であっても、メロペネムやイミペネムのMIC値が1μg/ml以下の株もあるようですが、これらも届出の対象ですか?

A10:届出の対象にはなりません。ただし、このような菌株は、耐性遺伝子の発現量や細菌外膜が変化することで耐性化したり、耐性遺伝子が他の菌株に伝播したりして、今後新たな耐性株を生み出す原因となることがありますので、特に入院中の患者より分離された場合は感染対策の観点からは十分な注意が必要です。

Q11:メロペネムやイミペネムに耐性(MIC値が2μg/ml以上)であっても、メタロ-β-ラクタマーゼ等のカルバペネマーゼを産生していない菌株があると思いますが、これらも届出の対象になりますか?

A11:薬剤耐性のメカニズムに関わらず、届出基準に該当していれば届出の対象になります。

Q12:カルバペネム耐性遺伝子に関する解析を希望する場合は、どこに相談すればよいでしょうか?

A12:民間の衛生検査所(検査センター)で薬剤耐性遺伝子の解析を実施しているところに依頼して頂くか、地域の大学等連携研究機関や自治体、地方衛生研究所、国立感染症研究所にご相談ください。

Q13:カルバペネム耐性腸内細菌科細菌が分離された場合、菌株は全て自治体に送ることが求められるのですか?

A13:院内感染が考えられる場合や、菌が地域の複数の医療機関に伝播している可能性があるなど、公衆衛生上や感染対策上、公的な対応が必要と行政が判断した場合は、関係法令に基づき自治体が菌株の提供をお願いすることがあります。出来る限り、菌株の保存をお願いします。

文責 柴山恵吾(国立感染症研究所 細菌第二部)

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