コンテンツにジャンプ
国立健康危機管理研究機構
感染症情報提供サイト
言語切り替え English

ハンセン病 一般の方向け

(公開日:2016年4月01日)
(2023年6月14日 改訂)

「らい」から「ハンセン病」に

「らい」は偏見や差別を生むものとして「ハンセン病」と呼ぶようになりました。病原菌の「らい菌」などごく一部を除いてほとんどが「ハンセン病」と呼びかえられています。

ハンセン病の原因は?

らい菌です。結核菌等と同じ抗酸菌という細菌です。試験管内での培養には成功していません。らい菌増殖には31℃前後が至適温度です。(図1

どんな病気ですか?

皮膚と末梢神経の病気です。皮膚症状は多彩で、一見しただけで診断することは困難です。皮疹は痒みが無く、知覚(触った感じ、痛み、温度感覚など)の低下などを認め、気づかないうちにケガやヤケドなどを負うこともあります。また運動の障害を伴うこともあります。診断や治療が遅れると、主に指、手、足等に知覚マヒや変形をきたすことがあります(後遺症)。(図2、3、4

  • ハンセン病の皮膚スメア検査の顕微鏡写真(1000倍拡大)。青く染まった細胞の周囲に赤く染色されたらい菌(桿状菌)が多数観察される。

    図1.らい菌(赤く棒状のもの、皮膚スメア検査、1000倍拡大)

  • ハンセン病の多菌型(LL型)の臨床写真。顔面に浮腫性の光沢のある紅斑が広がり、一部に結節(しこり)が認められる。この病変部位から採取した皮膚スメア検査で、多数の菌を検出できることを示す診断的意義のある写真。患者のプライバシーを保護するため、目の部分は黒い帯で隠されている。

    図2.多菌型(LL型)の患者。浮腫性で光沢のある紅斑で、一部には結節(しこり)もみられます。このしこりの部分から皮膚スメア検査すると図1のように多数の菌を検出できます。

  • ハンセン病の少菌型(BT型)の臨床写真。患者の背部に環状の紅斑が認められ、病変の中央部は脱色素化し、脱毛も観察される。この型の特徴として、皮膚スメア検査では菌の検出が困難であることを示す診断的意義のある写真。紅斑は境界明瞭で、典型的なBT型の臨床像を示している。

    図3.少菌型(BT型)の患者。環状の紅斑で、中央部は多少脱色、脱毛がみられます。この紅斑から皮膚スメア検査しても、らい菌を検出することは困難です。

  • ハンセン病の後遺症を示す手の臨床写真。早期の受診で予防可能な症状だが、進行すると手指の変形や皮膚の萎縮が生じる。この症例では手の甲から指にかけて皮膚の萎縮性変化と関節の変形が見られ、特に手の甲の部分に顕著な瘢痕化と皺の形成が観察される。早期診断・治療の重要性を示す教育的な写真。

    図4.小指に軽度の変形がみられます。

感染するのですか?

感染し発病することは稀です。乳幼児期に多量かつ頻回にらい菌を口や鼻から吸い込む以外まず発病しません。日本において感染源になる人は殆どいません。もちろん遺伝はしません。

日本にも患者はいるのですか?

います。最近の新規患者数は、毎年約数名(日本人:数名、在日外国人:数名)ですが、らい菌を大量に排出している人はいません。今後患者が増加することはありません。(図5

図5.ハンセン病新規患者数 1993~2023年
(2024年4月1日現在)
日本人   外国人
合計 女子 男子 男子 女子 合計
8 1 7 1993年 9 1 10
9 7 2 1994年 4 2 6
8 3 5 1995年 9 1 10
6 2 4 1996年 14 4 18
6 3 3 1997年 6 2 8
5 2 3 1998年 2 3 5
8 2 6 1999年 7 4 11
6 4 2 2000年 5 3 8
5 2 3 2001年 5 3 8
7 3 4 2002年 6 3 9
1 0 1 2003年 6 1 7
4 2 2 2004年 7 1 8
0 0 0 2005年 5 1 6
1 0 1 2006年 6 0 6
1 0 1 2007年 10 1 11
3 1 2 2008年 1 3 4
0 0 0 2009年 1 1 2
0 0 0 2010年 4 0 4
2 1 1 2011年 2 1 3
0 0 0 2012年 3 0 3
1 1 0 2013年 3 0 3
1 0 1 2014年 1 3 4
1 0 1 2015年 4 2 6
0 0 0 2016年 3 0 3
1 1 0 2017年 1 0 1
0 0 0 2018年 1 2 3
0 0 0 2019年 2 3 5
1 0 1 2020年 1 2 3
0 0 0 2021年 2 0 2
0 0 0 2022年 2 0 2
0 0 0 2023年 3 1 4

どこでどうやって診察しているのですか?

皮膚科で診療を受ける人がほとんどです。診断の手順は皮膚症状、神経の所見、らい菌の証明、病理組織学的所見などを総合して決めます。ハンセン病は皮膚症状やらい菌の多寡などから多菌型(皮膚スメア検査でらい菌陽性か、皮疹が6個以上)と少菌型(皮膚スメア検査で陰性か、皮疹が1~5個)に分類でき、治療法(内服期間)も違ってきます。他の病気と同じように保険診療の適応になっています。

注:皮膚スメア検査

らい菌を見つける検査です。皮膚症状のある部位(痛み感覚が低下している)にメスを刺し、抜いたときにメスに付着した皮膚組織液を染色して、顕微鏡でらい菌を見つける検査です(図1参照)。

治療はどうするのですか

抗菌薬を内服します。ハンセン病は治る病気ですが、早期診断、早期治療、確実な内服を心がけ、後遺症を残さず耐性菌を作らないようにすることが大事です。らい菌が多い(多菌型)患者には1年から数年、らい菌の少ない(少菌型)患者には6カ月の内服で治癒します。

注:抗菌薬

ハンセン病ではリファンピシン(結核にも使われている)、DDS(スルホン薬)、クロファジミン(色素剤)の3種類の抗菌薬を併用しています。これをWHOでは多剤併用療法(MDT)といっています。この治療を行うと、早期にらい菌はいなくなります。

ハンセン病療養所にはまだ患者さんがいるのですか?

ほとんどいません。ハンセン病は治っています。現在日本には14のハンセン病療養所があり、約810人の元患者さんが生活しています。平均年齢は87.9歳ですが、後遺症による身体障害や加齢も加わって、介護を必要とする人が多くいます。

ハンセン病研究センターではどのような仕事をしているのですか?

研究の他、全国の医師から依頼されるハンセン病検査(行政検査)、アジアのハンセン病研究者の研修、広く医療関係者を対象としたハンセン病医学夏期大学講座への協力などです。

研究では、らい菌と人間とのかかわりを免疫学や分子生物学など最新の技術を用いて解析しています。また、治療薬の開発、耐性らい菌や末梢神経後遺症の予防の研究など、ハンセン病全般に亘った研究をしています。

ハンセン病医学夏期大学講座とは?

毎夏医療関係の学生、医療関係者、さらに理科系などの学生等、ハンセン病に関心の有る方々を対象に実習を取り入れた講座を開催しています。問合せはハンセン病研究センターまたは国立ハンセン病資料館までお願いします。

PDF・Word・Excelなどのファイルを閲覧するには、ソフトウェアが必要な場合があります。
詳細は「ファイルの閲覧方法」を確認してください。