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国内における小児の原因不明の急性肝炎について (第2報) 2022年10月20日時点

公開日:2022年11月16日

国立感染症研究所
感染症危機管理研究センター
実地疫学研究センター
感染症疫学センター

背景や症例定義、急性肝不全の診断基準などについては「国内における小児の原因不明の急性肝炎について(第1報)2022年6月23日時点」を参照

要旨

  • 2022年10月20日までに暫定症例定義を満たす小児の原因不明の急性肝炎の可能性例が112例報告された。肝移植を要した症例が1例報告され、死亡例の報告はなかった。
  • 第1報と同様、症例の発症時期、居住地域、検出された病原体について、特定の傾向は確認されていない。
  • アデノウイルス検査陽性例13例のうち、欧米諸国で多く報告されている41型が検出された症例は1例であった。

小児の原因不明の急性肝炎報告例の概要

厚生労働省(および国立感染症研究所)の調査における暫定症例定義を満たす可能性例は、2022年10月20日までに、国内で112例報告された。原因となる病原体、発症の時期について明らかな傾向は認めていない。また、症例は全国の各地域から報告されており、地域的な偏りはみられていない。

発症週は2021年第40週から2022年第41週であった(図1)。直近の発症者については遅れて報告される可能性があること、また、事務連絡の発出以前の発症者は、医療機関が遡って確認する必要があり十分に報告されていない場合があると推定されることから、解釈には注意を要する。発症から入院までの期間について情報のある105例において、その中央値[四分位範囲]は4日[3-8日]で、入院期間について情報のある98例において、入院期間の中央値[四分位範囲]は10日[7-16日]であった(表1)。

112例のうち、62例(55%)は男性、50例(45%)は女性で、年齢中央値[四分位範囲]は4歳9か月[1歳5か月-9歳8か月]であった。情報が得られた症例のうち、基礎疾患を有する者の割合は26%(28例/106例)であった(表1、表2)。

少なくとも1回以上の新型コロナワクチン接種歴がある者の割合は19%(20例/103例)、肝炎発症の前に明らかに新型コロナウイルス感染症の既往歴があった者の割合は9%(9例/105例)であった(表1)。

情報が得られた症例において、最もよく見られた症状は発熱、消化器症状であり、第1報と同様であった。肝機能の指標となるAST、ALT、総ビリルビン、PT-INRの中央値[四分位範囲]についても、前回の報告と同様の傾向であった(表1)。

全血、血清、便、呼吸器由来検体を主な対象とした病原体検査の結果を示す(表3)。情報の得られた症例の8%(9例/107例)からSARS-CoV-2が検出された。また、アデノウイルスの検査が実施され、結果が判明した症例のうち、12%(13例/108例)からアデノウイルスが検出された(表3)。欧米で注目されているアデノウイルス41型は1例から検出された。現時点では、症例から検出された病原体について特徴的な傾向を認めない。

情報の得られた症例においては、ICU/HCU入室例は18%(13例/72例)であり、急性肝不全の診断基準を満たす者は、PT-INRに関する情報の得られた64例のうち11例(17%)であった(図1、表1)。肝移植を要した症例が1例(1%)で、死亡例の報告はなかった。転帰については、さらなる観察期間を要する可能性に注意が必要である。

図1.暫定症例定義に該当する国内の症例の発症状況(n=112,10月20日10時時点)

暫定症例定義に該当する国内の症例の発症状況の画像

注1:発症日不明の5名を除いている

注2:発症日不明の1名を除いている

注3:発症日事務連絡発出以前の遡り調査や、直近数週の報告については解釈に注意(本文参照)

表1.暫定症例定義に該当する国内の入院症例の基本情報(n=112,10月20日10時時点)

暫定症例定義に該当する国内の入院症例の基本情報の画像

注1:重複あり

注2:腹痛、下痢、嘔吐・嘔気のいずれかを呈する者

注3:AST、ALT、総ビリルビン、PT-INRは報告時点までの最大値

注4:AST、ALT、総ビリルビン、PT-INRは、それぞれ情報が得られた107例、107例、76例、64例の情報に基づく

表2.基礎疾患の分類(n=28,10月20日10時時点)

基礎疾患の分類の画像

注1:重複あり

表3.検出した微生物の基本情報注1

検出した微生物の基本情報の画像

注1:重複あり

注2:13例のうち10例がPCR法での検出、1例がウイルス培養での検出、2例が迅速抗原検査での検出である

注3:7例のうち5例は院内検査でアデノウイルスを検出したが、地方衛生研究所での検査が陰性であったため、型判定が不能であった

注4:地方衛生研究所での検査で検出した微生物

感染症発生動向調査にご参加、ご協力をいただいている全国の医療機関、保健所、自治体本庁、そして地方衛生研究所の関係各位に心より感謝申し上げます。

参考資料

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