アデノウイルス解説ページ-アデノウイルスの種類と病気
公開日:2014年1月29日
アデノウイルスの病気と種類
アデノウイルスには51種類の血清型および52型以降の遺伝型(genotype)があり、A~Gの7種に分類される。
多くのアデノウイルスは、体内の潜伏期間が5~7日で、便や飛沫、直接接触により感染経する。感染した場合、扁桃腺やリンパ節の中で増殖する。種が多いため、何度も同様の病気になる場合がある。
近年のアデノウイルス感染症の現状を病原微生物検出情報:IASR: Infectious Agents Surveillance Reportにまとめました。ご参照ください。
呼吸器感染症
主として3型および7型による。
特に7型は重症の肺炎を起こす。乳幼児がかかることが多く、髄膜炎、脳炎、心筋炎などを併発することもある。だらだらと長引く発熱、咳、呼吸障害など重症になることがあり、時に致命的なことがある。
咽頭結膜熱
主として3型による。
1日の間に39~40度の高熱と、37~38度前後の微熱の間を、上がったり下がったりが4~5日ほど続き、扁桃腺が腫れ、のどの痛みを伴う。その間、頭痛、腹痛や下痢を伴い、耳介前部および頸部のリンパ節が腫れることがある。加えて、結膜炎症状がみられる場合、咽頭結膜熱と診断される。
飛沫や接触等で感染する。
両目または片目が真っ赤に充血し、目やにが出る。かつて夏にプール利用時の接触やタオルの貸し借り等で流行することがあったため、俗称としてプール熱とも呼ばれていた。
うがい、手洗いなどで、ある程度予防できる。(注:コロナ渦で患者数が激減しており、新型コロナウイルスに対する予防策は、本感染症にも有効であった。)
咽頭結膜熱は学校保健安全法上の学校感染症の一つであり、主要症状がなくなった後、2日間登校禁止となる。
流行性角結膜炎(EKC)
D種の8型、64(19)型、37型および53型、54型、56型等のアデノウイルスによる。
目が充血し、目やにが出るが、咽頭結膜熱のように高い熱はなく、のどの赤みも強くはない。結膜炎経過後に点状表層角膜炎を作ることが多く、幼小児では偽膜性結膜炎になることがある。
流行性角結膜炎は学校保健安全法上の学校感染症の一つで、伝染の恐れがなくなるまで登校禁止となる。
出血性膀胱炎
主として11型による。
排尿時痛があり、真っ赤な血尿が出る。排尿時の痛みと肉眼的血尿が特徴で、これらの膀胱炎症状は2~3日で良くなり、尿検査での潜血も10日程度で改善する。
胃腸炎
主として31型、40型、41型による。乳幼児期に多く、腹痛、嘔吐、下痢を伴うが、発熱の程度は軽い